大会制度

福岡国際マラソンが終わり、パリ五輪代表を決めるMGCへの進出を4選手が決めたけど、東京五輪のMGCに心配な点があったことを思い出した

パリ五輪のマラソン代表選手も2023年秋にマラソングランドチャンピオンシップ(以後MGCとする)を開催して選考されます。本日開催された福岡国際マラソンで、細谷恭平(黒崎播磨)、大塚祥平(九電工)、高久龍(ヤクルト)、上門大祐(大塚製薬)の4選手がMGC出場権を獲得しました。

パリ五輪の代表選手を選考するMGCが東京五輪の時と同じであれば、2位以上の成績でパリ五輪代表内定となります。しかし、五輪には参加標準記録と参加標準記録有効期間があります。東京五輪のマラソンの参加標準記録は、男子 2時間11分30秒、女子 2時間29分30秒でした。有効期間は、2019年1月1日~2020年5月31日でした。

2019年9月15日に開催されたMGCの結果を見ると、優勝した中村匠吾選手のタイムは2時間11分28秒でした。準優勝の服部勇馬選手は2時間11分36秒でした。服部選手は、参加標準記録を満たしていませんでしたが、MGCの2カ月前に世界陸連が上位5選手を参加標準記録突破者と同等に扱うと決定したため、東京五輪の代表内定となりました。そうでなければ、服部選手は追試でマラソンを走り、参加標準記録を突破しなければいけないところでした。

こちらの記事によると、世界陸連は、各国の陸上連盟に対し、上位選手が代表になる1日だけのトライアル形式ではなく、世界ランキングを参考にして代表チームを選ぶことを奨励しているそうです。世界陸連は2024年の参加標準記録と参加標準記録有効期間をまだ発表していませんが、参加標準記録は東京五輪の時より厳しくなることが予想されているそうです。

パリ五輪代表選手選考のMGCの時も、世界陸連が同じ扱いをしてくれる保証はありません。東京五輪代表選手選選考のMGCが開催された2019年は、ワールドランキング制度導入が決定されて間もないかったため、MGCの上位選手を参加標準記録突破者として扱ってもらえましたが、2023年になればワールドランキング制度が浸透しているため、世界陸連は参加標準記録とワールドランキング制度での代表選手選考を求めてくると考えられます。

ドーハ世界選手権の十種競技の内定を得ていた右代選手が、世界陸連からエントリー不承認の通達を受け、あわや出場できない事態がありました。これと同じことが、MGCで起こる可能性があります。パリ五輪の参加標準記録を突破していないのに、MGCで優勝した場合がそれに当たります。MGCは世界陸連から奨励されていない選考方式のようです。MGCが盛り上がり、日本陸連が内定を出したのに梯子を外されてパリ五輪に出場できないということがないように、制度設計をしっかりしてもらいたいものです。