12月5日(日)に75年の歴史に幕を閉じる福岡国際マラソン。これで、エリート選手のみのマラソン大会は大阪国際女子マラソンだけになりました。福岡国際マラソン廃止の一因として、スポンサーが集まらず資金難であると言われています。そこで、大阪国際女子マラソンの資金面はどうなっているのかを調べてみました。
奥村組は2018年から2021年まで大阪国際女子マラソンと4年間の協賛契約を結んでいました。奥村組は、今年1月29日に2022年から2027年まで6年間の契約延長を発表しました。大阪国際女子マラソンは、2027年まで存続しそうです。
奥村組が支払っている協賛金はどれくらいなのでしょうか。奥村組のIR情報から決算情報、各年度3月期の決算短信を見てみます。次に、決算短信の損益計算書より販売費及び一般管理費の項目から広告宣伝費を見てみます。
広告宣伝費とは、不特定多数の人(=一般消費者)を対象に、商品・製品やサービスの販売促進を目的とした広告宣伝、求人の広告宣伝、会社のイメージアップを目的とした広告宣伝、決算公告に支出する費用を処理する費用勘定をいいます。
各年度の広告宣伝費です。奥村組は2018年大会から大阪国際女子マラソンの協賛企業になりました。年度でいうと、2017年度からです。
2012年度 8500万円
2013年度 1億700万円
2014年度 8900万円
2015年度 8300万円
2016年度 1億3800万円
2017年度 6億3800万円 この年度の2018年大会から奥村組が協賛
2018年度 8億2800万円
2019年度 9億6200万円
2020年度 8億5200万円
2017年から広告宣伝費が大きく増加しています。2016年度の4.6倍です。
これは、大会運営費の負担と大会中に放映するCMの制作で増加したと考えられます。
こちらの記事によると、奥村組は、2017年度に、マラソン中継番組内で放映するシリーズCM(全4話)を制作しました。
2年目の2018年度からは、テレビ東京の「ガイアの夜明け」などの番組提供により定期的なCM放映とマラソン前後で集中的に広告を出すことにしたそうです。そのため、広告宣伝費が前年より増加しています。
つまり、2012年度から2016年度までの広告宣伝費が毎年およそ1億円なので、大阪国際女子マラソンの協賛を開始した2017年度の広告宣伝費から引いた、5億3800万円程度がエリートマラソン運営に必要な協賛金と考えられます。2027年の大会終了後に、これだけの金額を協賛できる企業が現れなかった場合、最後のエリートマラソンは消滅してしまうでしょう。